05/19
2025
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04/01
2010
てゆうか当初の予定とは別次元の着地点・・・あれー??
まぁ、どっちにしろイチャイチャ。
4月馬鹿とはまったく関係ない只のバカップルです。
「今日はお前が当番か。」
「あ・・・副長。」
小気味良く響く包丁の動きを止め、斎藤が振り向く。
おはようございます。と、頭を下げるのに首肯で返せばまじまじと凝視される。
「如何した。今更、俺の顔に見蕩れたか。」
もっとよく見せてやろうと寄せた顔を引寄せもせず、押返しもせず
只、見詰めるだけの斎藤に焦れて直截的な行動に移そうと試みれば先に動いたのは斎藤だった。
ひやりと冷たい手に頬を包まれ思わず面食らう。
朝っぱらから、しかも誰に見られるとも分からぬ炊事場で此れ程
積極的に振舞う斎藤など予想もできなかったが・・・
これは嬉しい誤算だ。
与えられた据膳は勿論残さず戴くとしよう。
「土方さん・・・昨夜はよく眠れましたか?」
「・・・・・・・・・は?」
「お顔の色が優れません。昨夜も遅くまで灯りが点いていたようですし・・・
お忙しいのは重々承知しておりますが、それでもしっかり休みは取って頂かなければ
御身体に差し障ります。」
・・・つまりは斎藤は俺の身を案じていただけで、
この潤んだ瞳も情欲からではなく純粋に心配していたということで・・・
ああ、なんだ。そういうことかよ。
「!?土方さんっ?」
「なんか急に疲れた。ちょっと身体貸せ。」
囲い込んだ腕の中の痩躯に体重を預ければ、
途惑いに身動ぎ視線は部屋の入り口を頻りに窺う。
「心配しなくてもこんな時間じゃ誰も来やしねぇよ。」
「ですが・・・、まだ朝餉の支度も途中ですし・・・」
「んなもん、俺が後で手伝ってやる。」
「お疲れの副長にそのような事はさせられません。
部屋まで膳を運びますので、それまでの間少しでもお休みください。」
早口で言い立て、自力で腕の拘束から逃れ背を向ける斎藤。
その首元に普段巻かれている襟巻きはなく、
露わな項は熱を帯びたように朱く染められて、
無防備な艶姿は早朝から拝むには些か刺激が強すぎる。
「なぁ、はじめ。」
吐息混じりに名を呼べば、それだけで身を竦ませるのを宥めるように腕をまわす。
「俺はお前が傍に居る時が一番落ち着くんだが・・・お前はそうじゃねぇようだな。」
合せ目から差入れた掌に感じる鼓動は早鐘のように鳴り響き、
覗き込んだ双眸は羞恥と困惑とにすっかり潤んでいる。
厭なら厭と拒絶すればいいものを、斎藤は頭を振り繰言のように名を呼んで腕に縋りつく。
既に幾度となく情を交わした仲だというのに、まるで色事を解さぬ幼児だ。
そんな様を見せられては流石に無理強いもできず、
名残惜しくも手を引き、蟀谷へと口唇を落として身を離す。
「邪魔して悪かったな。おとなしく部屋で待ませてもらうよ。」
「あ・・・土方さんっ・・・その・・・」
反射的にだろう。
着物を掴み呼び止めて、しかし其処から先の語が続かぬ。
それでも言葉以上に雄弁に深蒼の瞳は語り掛けるから。
「んな心配しなくても別に怒っちゃいねぇよ。」
「ですが・・・」
「だが、怒ってなくても我慢には限度ってもんがあるからな・・・
あんまり煽ると喰っちまうぞ。」
着物を掴む指を取り口付けとともに囁けば零れ落ちそうに瞠られるその瞳。
舐ってやったらいったいどんな味がするものか。
いつか味見してみたいと思うのは流石に秘しておいた方がいいだろう。