薄桜鬼 土斎メイン BL小噺 声優関連徒然日記 詳細はご挨拶からどうぞ
05/19
2025
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11/11
2008
土斎小話。
拙い表現ですが、R15指定入ります。
お気をつけください。
拙い表現ですが、R15指定入ります。
お気をつけください。
副長からの呼び出しを受け部屋へと向かう。
いつも通り任務の話かと思えば、副長は縁で1人手酌を呷っていた。
「いい酒が手に入ったからな。たまには月見酒ってのも悪くねぇだろ。」
副長と二人、こうして酒を呑むなどいつ以来だろう。
何を語るわけでもない。ただひっそりと時を過ごすことはこれほど落ち着きを齎すものだったか。
薩長の勢いは苛烈さを増し、鬼の襲来、羅刹隊を束ねる山南総長の動向と問題は山積している。
近頃は、昼夜の別なく働き詰めだ。
今宵の細やかな酒宴はそんな自分を見かねて雪村が副長に泣きついたというところか。
もし、そうでなければ。
この場が雪村ではなく、土方自身が求めたものだとしたら。
月を見上げ酒盃を呷る。
望月の柔らかな光が隈なく周囲を照らし出す。その中で、
餓え、渇いた紅い瞳がこちらを見詰めていた。
副長が羅刹化してから幾月も過ぎた。薬でごまかすにも、そろそろ限界だろう。
今の副長にとっての月光は太陽と同じ。
同じ刻、同じ景色を見ても、もう同じ世界ではない。
それでも、互いが視る世界が変わろうと、その想いまでが変わったわけではない。
自分はただ、新選組のため、土方のために刀を振るい隣に在ればそれでいい。
そのためには、こんなところで迷うわけにはいかないのだ。
「土方さん。」
呼びかけとともに襟巻きを外し、副長の元に身を寄せる。
既に覚悟はできている。
「俺の血を飲んでください。」
「・・・っか野郎っ!」
「俺はお前に、んなこと言わせたい訳じゃねぇんだよっ・・・!」
掠れた声、震える腕で強く胸の中に抱きしめられる。
「・・・ひじかたさん。」
傷つけてしまったのか。
自分の不用意な発言を悔やむ。
それでもあの言葉を取り消すことなどできない。
あれは今の自分が羅刹化に苦しむ土方のためにできる精一杯の気持ちだ。
せめて、顔が見たいと強い力に抗い顔を上げれば玲瓏とした紫の瞳が向けられた。
その瞳には、先程の吸血衝動を帯びた時よりよほど狂おしげな光を宿している。
誘われるままに唇を寄せ合う。
ただ落とすだけのものから、貪り、噛み付くような行為になるまでそれほどの時は要さなかった。
口付けが解かれる頃には既に力が入らず、副長に身を預けるしかなくなっていた。
今の俺は先程晒した首筋までも赤く染まっているのだろう。
耳元での微笑を含んだ吐息に余韻の残る躯が震える。
「斎藤」
今の顔を見られたくなどないのに、
頤を掬い上げられ抵抗する間もないままに上向かされる。
「俺はこれだけで十分だ。」
ちろり、と血の滲む唇を舐め満足気に鬼は笑った。
いつも通り任務の話かと思えば、副長は縁で1人手酌を呷っていた。
「いい酒が手に入ったからな。たまには月見酒ってのも悪くねぇだろ。」
副長と二人、こうして酒を呑むなどいつ以来だろう。
何を語るわけでもない。ただひっそりと時を過ごすことはこれほど落ち着きを齎すものだったか。
薩長の勢いは苛烈さを増し、鬼の襲来、羅刹隊を束ねる山南総長の動向と問題は山積している。
近頃は、昼夜の別なく働き詰めだ。
今宵の細やかな酒宴はそんな自分を見かねて雪村が副長に泣きついたというところか。
もし、そうでなければ。
この場が雪村ではなく、土方自身が求めたものだとしたら。
月を見上げ酒盃を呷る。
望月の柔らかな光が隈なく周囲を照らし出す。その中で、
餓え、渇いた紅い瞳がこちらを見詰めていた。
副長が羅刹化してから幾月も過ぎた。薬でごまかすにも、そろそろ限界だろう。
今の副長にとっての月光は太陽と同じ。
同じ刻、同じ景色を見ても、もう同じ世界ではない。
それでも、互いが視る世界が変わろうと、その想いまでが変わったわけではない。
自分はただ、新選組のため、土方のために刀を振るい隣に在ればそれでいい。
そのためには、こんなところで迷うわけにはいかないのだ。
「土方さん。」
呼びかけとともに襟巻きを外し、副長の元に身を寄せる。
既に覚悟はできている。
「俺の血を飲んでください。」
「・・・っか野郎っ!」
「俺はお前に、んなこと言わせたい訳じゃねぇんだよっ・・・!」
掠れた声、震える腕で強く胸の中に抱きしめられる。
「・・・ひじかたさん。」
傷つけてしまったのか。
自分の不用意な発言を悔やむ。
それでもあの言葉を取り消すことなどできない。
あれは今の自分が羅刹化に苦しむ土方のためにできる精一杯の気持ちだ。
せめて、顔が見たいと強い力に抗い顔を上げれば玲瓏とした紫の瞳が向けられた。
その瞳には、先程の吸血衝動を帯びた時よりよほど狂おしげな光を宿している。
誘われるままに唇を寄せ合う。
ただ落とすだけのものから、貪り、噛み付くような行為になるまでそれほどの時は要さなかった。
口付けが解かれる頃には既に力が入らず、副長に身を預けるしかなくなっていた。
今の俺は先程晒した首筋までも赤く染まっているのだろう。
耳元での微笑を含んだ吐息に余韻の残る躯が震える。
「斎藤」
今の顔を見られたくなどないのに、
頤を掬い上げられ抵抗する間もないままに上向かされる。
「俺はこれだけで十分だ。」
ちろり、と血の滲む唇を舐め満足気に鬼は笑った。
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