薄桜鬼 土斎メイン BL小噺 声優関連徒然日記 詳細はご挨拶からどうぞ
05/19
2025
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11/19
2008
友情出演 山崎さん(少しだけ)
書き足すうちに長くなってしまいました。
甘いです。
書き足すうちに長くなってしまいました。
甘いです。
名を呼び、暫し待つ。
部屋の中に確かに感じる気配に向けて、もう1度呼びかけるがやはり反応はない。
応えがないことを訝りながら襖を開けた光景に、
監察方・山崎蒸は狐に抓まれたような顔で佇んだ。
「斎藤が居眠りだぁ?」
「そりゃぁ、斎藤だって絡繰りじゃねぇんだ。昼寝くらいするだろ。」
いちいちくだらねぇことを報告するなといわんばかりに、
土方の筆を滑らせる手は止まらない。
「しかし普段の斎藤組長でしたら、自分の気配に気付かない訳がありません。
疲れが溜まっているだけならまだしも、体調に問題でもあるのでは。」
いつも事務的な口調で簡潔に纏められた用件のみを話す山崎が
珍しく言い募るのに筆を止めて振り向いた。
「判った。後で様子を見てくる。」
その言葉に山崎が安堵したように頭を下げた。
組長として自室を持つ斎藤だが、殺風景といえるほどに物が置かれていない。
ただ文机の周りだけは書類で囲まれていた。
どれだけやっても終わりの見えない作業に、外からの暖かな日差しの誘惑。
こんな日には外で鍛錬でもしたいだろうに、
真面目すぎる斎藤はたとえ気分転換とはいえ、
途中で書類を投げ出すことなどできなかったのだろう。
「少しは息抜きしねぇとな。」
自分の羽織を脱ぎ、斎藤に掛ける。
できれば布団で寝かせてやりたいが、そんなことをすれば斎藤でなくとも起きる。
そして、1度目覚めた斎藤が大人しく再び眠りにつくとは思えない。
しかし、眠りの浅いこの男がこれほど熟睡するとは珍しい。
沖田と並んで気配に聡い斎藤の寝顔など滅多に見れるものではない。
軽い興味に引かれて斎藤の顔を覗き見る。
これだけ近くで眺めても、寝息すら立てず眠る様は無機質で人形めいて見える。
紅も引かれぬ薄い唇、白粉の匂いもない白磁の肌、長い睫はぴたりと閉じられている。
その癖、寝顔はひどく穏やかで年相応、さらに幼い印象すら受けた。
毎日を死と隣り合わせで暮らす新選組において、
この男が人並みの幸せというものを手に入れられる日は来るのだろうか。
斎藤自身が選んだ道とはいえ、それを思うと胸が痛む。
土方にとって斎藤の存在の大きさを知らしめるようだ。
このまま眠り続ければいいと思う反面、早く目覚めてほしいとも思う。
寝顔を見ながら湧き起こる相反した感情に1つ息を吐くことで決着をつける。
今はまだこのままでいい。
そっと身体を引き寄せ、肩口に頭を乗せる。
ふわふわとした猫っ毛が首筋に当たるのが擽ったい。
とくり、と脈打つ鼓動がひどく大きく感じた。
太陽が角度を変え、影が伸びる頃にようやく斎藤が反応を示した。
小さく漏れる吐息にあわせ微かに睫が震える。
意外と寝起きは悪いらしい。
未だ眠りの淵を彷徨っているのだろう。
ぱちぱちと涙膜の張った瞳を瞬かせつつも、土方の存在に気付いた様子はない。
柔らかな髪を梳き、意識を引き寄せる。
その動きに釣られて緩慢とした動作で上向き、潤んだ瞳に土方を映す。
「お目覚めか?斉藤」
ひどく甘さを含んだ声色が出たことに土方自身が驚くが、
その驚きは斎藤の方がよほど上だったらしい。
焦点を合わせた瞳が土方を捉えれば、零れんばかりに目を開いた。
「ひ じ方、さ ん・・・っ!??」
寝起きのせいもあるのだろう。上擦った声で名を呼ばれる。
更に遅れてようやく状況に気付いたか、飛び退るように身を離され、
その勢いに斎藤に掛けた羽織が落ちた。
傍らに馴染んだ重みが急に消えたことに物足りなさを感じ、土方は思わず眉を顰める。
その意味を捉え損ねたか、
「職務中に申し訳ありません。」
動揺を隠しながらも、居眠りについて神妙に謝る様子に苦笑が漏れる。
「いや、貴重なものも見れたし、俺にとっても有意義な時間を過ごせたからな。」
「・・・仰る意味が判りかねます。」
含みのある土方の言葉に不思議そうに首を傾げて問い返す。
「寝起きの組長の頭では難しいだろうな。後でゆっくり考えろ。」
皮肉を込めて答えをはぐらかすと、ありありと不満の色を浮かべられた。
常ではないその仕草に土方の胸中がどれほど乱れているかなど、知る由もないのだろう。
たった数刻の間に土方は毒されてしまったらしい。
このままでは自制が効かなくなりそうで、子供をあやすように頭を撫でた。
嫌がられるかと思ったが、斎藤はひどく気持ちよさそうに目を閉じる。
撫で続ければ再び眠ってしまいそうで、仕方なく動きを止めると、
「あ・・・。」
物足りないとでもいうように瞳が開かれる。
意外な反応に見返すと、
「いえ、何でもありません。」
誤魔化すように先程落とした土方の羽織を拾いあげる。
「ありがとうございました。」
「気にするな。それより、しっかり休めよ。」
素直に頷こうとしない斎藤はまたも仕事のことを気にしているのだろう。
急ぎのものではなくとも、今日済ませる予定の書類まで溜まっている。
「判った。今度は俺の休みに付き合え。文句は許さん。」
苦笑とともにようやく斎藤は頷いた。
次の休みには斎藤に告げた『貴重なもの』の答えも出ているだろうか。
彼の鈍さを思えば期待はできないと思いながらも、
その時の反応を想像する土方の表情は柔らかかった。
部屋の中に確かに感じる気配に向けて、もう1度呼びかけるがやはり反応はない。
応えがないことを訝りながら襖を開けた光景に、
監察方・山崎蒸は狐に抓まれたような顔で佇んだ。
「斎藤が居眠りだぁ?」
「そりゃぁ、斎藤だって絡繰りじゃねぇんだ。昼寝くらいするだろ。」
いちいちくだらねぇことを報告するなといわんばかりに、
土方の筆を滑らせる手は止まらない。
「しかし普段の斎藤組長でしたら、自分の気配に気付かない訳がありません。
疲れが溜まっているだけならまだしも、体調に問題でもあるのでは。」
いつも事務的な口調で簡潔に纏められた用件のみを話す山崎が
珍しく言い募るのに筆を止めて振り向いた。
「判った。後で様子を見てくる。」
その言葉に山崎が安堵したように頭を下げた。
組長として自室を持つ斎藤だが、殺風景といえるほどに物が置かれていない。
ただ文机の周りだけは書類で囲まれていた。
どれだけやっても終わりの見えない作業に、外からの暖かな日差しの誘惑。
こんな日には外で鍛錬でもしたいだろうに、
真面目すぎる斎藤はたとえ気分転換とはいえ、
途中で書類を投げ出すことなどできなかったのだろう。
「少しは息抜きしねぇとな。」
自分の羽織を脱ぎ、斎藤に掛ける。
できれば布団で寝かせてやりたいが、そんなことをすれば斎藤でなくとも起きる。
そして、1度目覚めた斎藤が大人しく再び眠りにつくとは思えない。
しかし、眠りの浅いこの男がこれほど熟睡するとは珍しい。
沖田と並んで気配に聡い斎藤の寝顔など滅多に見れるものではない。
軽い興味に引かれて斎藤の顔を覗き見る。
これだけ近くで眺めても、寝息すら立てず眠る様は無機質で人形めいて見える。
紅も引かれぬ薄い唇、白粉の匂いもない白磁の肌、長い睫はぴたりと閉じられている。
その癖、寝顔はひどく穏やかで年相応、さらに幼い印象すら受けた。
毎日を死と隣り合わせで暮らす新選組において、
この男が人並みの幸せというものを手に入れられる日は来るのだろうか。
斎藤自身が選んだ道とはいえ、それを思うと胸が痛む。
土方にとって斎藤の存在の大きさを知らしめるようだ。
このまま眠り続ければいいと思う反面、早く目覚めてほしいとも思う。
寝顔を見ながら湧き起こる相反した感情に1つ息を吐くことで決着をつける。
今はまだこのままでいい。
そっと身体を引き寄せ、肩口に頭を乗せる。
ふわふわとした猫っ毛が首筋に当たるのが擽ったい。
とくり、と脈打つ鼓動がひどく大きく感じた。
太陽が角度を変え、影が伸びる頃にようやく斎藤が反応を示した。
小さく漏れる吐息にあわせ微かに睫が震える。
意外と寝起きは悪いらしい。
未だ眠りの淵を彷徨っているのだろう。
ぱちぱちと涙膜の張った瞳を瞬かせつつも、土方の存在に気付いた様子はない。
柔らかな髪を梳き、意識を引き寄せる。
その動きに釣られて緩慢とした動作で上向き、潤んだ瞳に土方を映す。
「お目覚めか?斉藤」
ひどく甘さを含んだ声色が出たことに土方自身が驚くが、
その驚きは斎藤の方がよほど上だったらしい。
焦点を合わせた瞳が土方を捉えれば、零れんばかりに目を開いた。
「ひ じ方、さ ん・・・っ!??」
寝起きのせいもあるのだろう。上擦った声で名を呼ばれる。
更に遅れてようやく状況に気付いたか、飛び退るように身を離され、
その勢いに斎藤に掛けた羽織が落ちた。
傍らに馴染んだ重みが急に消えたことに物足りなさを感じ、土方は思わず眉を顰める。
その意味を捉え損ねたか、
「職務中に申し訳ありません。」
動揺を隠しながらも、居眠りについて神妙に謝る様子に苦笑が漏れる。
「いや、貴重なものも見れたし、俺にとっても有意義な時間を過ごせたからな。」
「・・・仰る意味が判りかねます。」
含みのある土方の言葉に不思議そうに首を傾げて問い返す。
「寝起きの組長の頭では難しいだろうな。後でゆっくり考えろ。」
皮肉を込めて答えをはぐらかすと、ありありと不満の色を浮かべられた。
常ではないその仕草に土方の胸中がどれほど乱れているかなど、知る由もないのだろう。
たった数刻の間に土方は毒されてしまったらしい。
このままでは自制が効かなくなりそうで、子供をあやすように頭を撫でた。
嫌がられるかと思ったが、斎藤はひどく気持ちよさそうに目を閉じる。
撫で続ければ再び眠ってしまいそうで、仕方なく動きを止めると、
「あ・・・。」
物足りないとでもいうように瞳が開かれる。
意外な反応に見返すと、
「いえ、何でもありません。」
誤魔化すように先程落とした土方の羽織を拾いあげる。
「ありがとうございました。」
「気にするな。それより、しっかり休めよ。」
素直に頷こうとしない斎藤はまたも仕事のことを気にしているのだろう。
急ぎのものではなくとも、今日済ませる予定の書類まで溜まっている。
「判った。今度は俺の休みに付き合え。文句は許さん。」
苦笑とともにようやく斎藤は頷いた。
次の休みには斎藤に告げた『貴重なもの』の答えも出ているだろうか。
彼の鈍さを思えば期待はできないと思いながらも、
その時の反応を想像する土方の表情は柔らかかった。
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