薄桜鬼 土斎メイン BL小噺 声優関連徒然日記 詳細はご挨拶からどうぞ
05/19
2025
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12/26
2008
クリスマス終わっちゃいましたね・・・。
ごめんなさい。しかも前編。後編は―年明け・・・?
頑張りますのでお待ちくださいorz
ここにきてようやく主要キャラ登場。
クリスマス気分とはいえ、歴史系サイトだと悩みます。
ごめんなさい。しかも前編。後編は―年明け・・・?
頑張りますのでお待ちくださいorz
ここにきてようやく主要キャラ登場。
クリスマス気分とはいえ、歴史系サイトだと悩みます。
師走のある朝。副長室には一向に懐かない猫がやってきた。
これは雪でも降るかと空を見上げれば澄んだ空の高くに鳥が飛ぶのが見える。
久しぶりに一句詠むか、と猫が鳴くのを聞き流す。
”何とか”の一つ覚えとはよく言ったもので、本当にこいつの頭の中はそれ一色だ。
そして、性質の悪いことに、こいつは紙一重に”何とか”ではなく”天才”に分類されている。
まったく、困ったものだ。
俺が徒然と他事を思う間も鳴き喚いていた猫も、
生返事を繰り返す俺に愛想を尽かしたか話を切り上げる。
「土方さん、約束しましたよ。武士に二言はないですからね。」
もう用は済んだとばかりに俺が返事をする間もなく背を向け去って行くのに溜め息が出る。
言いたいことだけ言ってふらりと姿を消す気侭な猫との約束を追い遣り、今日の予定を頭に巡らせた。
―暇だ。
任務を終えて無事帰還し労を労われた。いつものことだ。
しかし、その後がいつもと違った。暇を出されたのだ。
理由を問えば「一寸ばかり早い正休み」らしい。
そのようなものはいらぬと固辞しても局長から直々にと言われれば諾と答えるより道はない。
任務も与えられず、組長としての仕事も他の者が代わっている。
身体が鈍らぬよう稽古だけは欠かさず行っているが、
このような立場に置かれると本当に自分は刀として生きるしかないのだと思い知る。
胸に広がる鬱々とした想い。
飼い殺される位ならいっそ―
ぱちり、と炭がはじける。火鉢を囲む対面では雪村千鶴が蜜柑を頬張っている。
休みを貰ってから頻繁に雪村が訪れるようになった。
それまでは任務として俺が雪村に目を配っていたのだが、今となっては立場が逆になっている。
おかしなものだ。勿論、彼女にそのつもりはないのだろうが。
酸味が強いのか、一寸眉を寄せて残った蜜柑を手の内でやわやわと揉む。
彼女の仕草に暗く沈む俺の意識がふと晴れる。
仕事柄、常に最悪の事態を想定してしまう。
それを見越した上で彼女を俺に宛がっているのだとしたら、空恐ろしい人だと思う。
温くなった茶を淹れ直そうと彼女が膝を立たせたところに、ばたばたと騒がしい足音が響く。
「一く~~~ん!どこ~~~?」
「さぁーいーとぉー!隠れてないで出て来いよー!!」
あの声は―平助と永倉さんだな。あの様子では火急の報せという訳でもなさそうだ。
ならば好んで面倒事に巻き込まれてやるつもりはない。
声を掛けようとする雪村を制し、2人が呼ぶ廊下とは逆の襖を開く。
と、そこには待ち構えていたように、左之が立ちはだかっていた。
「斎藤君、み~つけた。」
にたり、と獲物を捕らえたような笑みを見ると、
自分が予想した以上の厄介事に巻き込まれようとしているようだ。
ぴしゃ、と襖を閉め踵を返せば、襖の向こうから声が掛けられた。
「敵前逃亡は士道不覚悟。」
その言葉にぴたりと足を止める。
副長が定めた局中法度。破れば切腹。
いや、切腹以前に3番隊を預かる組長として規律を破るわけには行かない。
「ほんっとお前は真面目だなぁ。」
俺が足を止めたのを見越して悠々と左之がやって来る。
呆れと感心を綯い交ぜにしたように息を吐き、子供にするように頭を撫でる。
「別に俺はお前の敵になったつもりはないんだけどな。」
「っ」
はっと見遣れば今度は明らかな苦笑を浮かべるのが癪に障る。
「離せ。」
「だ~め。離したら逃げちまうだろ?」
ギリ、と睨み上げても、左之の笑みは深まるばかり。
抵抗しても無駄だと大人しく身柄を預けた頃に平助たちが現われた。
「なにしてんの?2人共。」
それは俺が訊きたい。
2人が来ても離れる様子のない左之はそのままに改めて用件を聞く。
「そうそう。俺ら一君に渡したい物があって探してたんだよ。」
満面の笑みと共に包みを出されても、俺には受け取る理由などない。
況してこの状況から出てくる物など碌でもないだろう。
「あーもー、遠慮なんかいらねぇからとっとと開けろって!」
・・・別に遠慮しているわけではないのだが。
俺が一向に手をつけぬのに焦れた永倉さんが平助から包みを奪い、
中の物を取り出し眼前に翳した。
「・・・っ」
「ふふん。どうだ、斎藤。あまりの出来に言葉もないか?」
永倉さんが然も得意気に見せ付けるそれを繁々と見詰める。
左之も新八も俺の感想を求めるように見詰めてくる。
「・・・毛玉?」
「違うっ!犬だろ犬っ!犬耳と尻尾だっ!」
俺の言葉に気色ばんだ永倉さんがきんきんと喚くが、それに構う筋合いはない。
それよりもっと重要なことがある。
「犬?どうしてそれを俺に?」
ぐぐっと眉間に皺を寄せて問う。
隊の内外で俺がどう言われているかなど充分承知しているが、
これは戯れにも程があろう。
永倉さんの手から黒い毛玉(毛玉で十分だ)を奪い、
とりあえず廃棄処分してやろうと腕に力を込める。
「っちょっ、待って一君!俺の力作!」
知るか。
「やめろって!斎藤!」
五月蠅い。
「土方さんのためだぞ!」
・・・なんだと?
再び左之の言葉に動きを止められる。
「・・・どうしてこれが土方さんのためになるんだ。」
強く握りすぎたせいで、くたりとよれた耳と尾をそれぞれ新八と永倉さんが修復していく。
その間に左之が為たり顔で説明を始めた。
「つまりな、ここのとこ年の瀬だ何だって局長・副長共に忙しかっただろ。」
確かに、通常の仕事に加えて各所への挨拶回り、年内の書類の纏めと
猫の手も借りたいほどに忙しそうだった。
その癖、何か手伝いたいと申し出たところで「お前は休め」と素気無く追い払われる。
常に土方さんの下で働く山崎君や島田さんを見掛けると思わず視線に殺気が篭ってしまう。
勿論、彼らには何の非もないことは充分承知しているというのに。
そう、この場合悪いのは・・・
これは雪でも降るかと空を見上げれば澄んだ空の高くに鳥が飛ぶのが見える。
久しぶりに一句詠むか、と猫が鳴くのを聞き流す。
”何とか”の一つ覚えとはよく言ったもので、本当にこいつの頭の中はそれ一色だ。
そして、性質の悪いことに、こいつは紙一重に”何とか”ではなく”天才”に分類されている。
まったく、困ったものだ。
俺が徒然と他事を思う間も鳴き喚いていた猫も、
生返事を繰り返す俺に愛想を尽かしたか話を切り上げる。
「土方さん、約束しましたよ。武士に二言はないですからね。」
もう用は済んだとばかりに俺が返事をする間もなく背を向け去って行くのに溜め息が出る。
言いたいことだけ言ってふらりと姿を消す気侭な猫との約束を追い遣り、今日の予定を頭に巡らせた。
―暇だ。
任務を終えて無事帰還し労を労われた。いつものことだ。
しかし、その後がいつもと違った。暇を出されたのだ。
理由を問えば「一寸ばかり早い正休み」らしい。
そのようなものはいらぬと固辞しても局長から直々にと言われれば諾と答えるより道はない。
任務も与えられず、組長としての仕事も他の者が代わっている。
身体が鈍らぬよう稽古だけは欠かさず行っているが、
このような立場に置かれると本当に自分は刀として生きるしかないのだと思い知る。
胸に広がる鬱々とした想い。
飼い殺される位ならいっそ―
ぱちり、と炭がはじける。火鉢を囲む対面では雪村千鶴が蜜柑を頬張っている。
休みを貰ってから頻繁に雪村が訪れるようになった。
それまでは任務として俺が雪村に目を配っていたのだが、今となっては立場が逆になっている。
おかしなものだ。勿論、彼女にそのつもりはないのだろうが。
酸味が強いのか、一寸眉を寄せて残った蜜柑を手の内でやわやわと揉む。
彼女の仕草に暗く沈む俺の意識がふと晴れる。
仕事柄、常に最悪の事態を想定してしまう。
それを見越した上で彼女を俺に宛がっているのだとしたら、空恐ろしい人だと思う。
温くなった茶を淹れ直そうと彼女が膝を立たせたところに、ばたばたと騒がしい足音が響く。
「一く~~~ん!どこ~~~?」
「さぁーいーとぉー!隠れてないで出て来いよー!!」
あの声は―平助と永倉さんだな。あの様子では火急の報せという訳でもなさそうだ。
ならば好んで面倒事に巻き込まれてやるつもりはない。
声を掛けようとする雪村を制し、2人が呼ぶ廊下とは逆の襖を開く。
と、そこには待ち構えていたように、左之が立ちはだかっていた。
「斎藤君、み~つけた。」
にたり、と獲物を捕らえたような笑みを見ると、
自分が予想した以上の厄介事に巻き込まれようとしているようだ。
ぴしゃ、と襖を閉め踵を返せば、襖の向こうから声が掛けられた。
「敵前逃亡は士道不覚悟。」
その言葉にぴたりと足を止める。
副長が定めた局中法度。破れば切腹。
いや、切腹以前に3番隊を預かる組長として規律を破るわけには行かない。
「ほんっとお前は真面目だなぁ。」
俺が足を止めたのを見越して悠々と左之がやって来る。
呆れと感心を綯い交ぜにしたように息を吐き、子供にするように頭を撫でる。
「別に俺はお前の敵になったつもりはないんだけどな。」
「っ」
はっと見遣れば今度は明らかな苦笑を浮かべるのが癪に障る。
「離せ。」
「だ~め。離したら逃げちまうだろ?」
ギリ、と睨み上げても、左之の笑みは深まるばかり。
抵抗しても無駄だと大人しく身柄を預けた頃に平助たちが現われた。
「なにしてんの?2人共。」
それは俺が訊きたい。
2人が来ても離れる様子のない左之はそのままに改めて用件を聞く。
「そうそう。俺ら一君に渡したい物があって探してたんだよ。」
満面の笑みと共に包みを出されても、俺には受け取る理由などない。
況してこの状況から出てくる物など碌でもないだろう。
「あーもー、遠慮なんかいらねぇからとっとと開けろって!」
・・・別に遠慮しているわけではないのだが。
俺が一向に手をつけぬのに焦れた永倉さんが平助から包みを奪い、
中の物を取り出し眼前に翳した。
「・・・っ」
「ふふん。どうだ、斎藤。あまりの出来に言葉もないか?」
永倉さんが然も得意気に見せ付けるそれを繁々と見詰める。
左之も新八も俺の感想を求めるように見詰めてくる。
「・・・毛玉?」
「違うっ!犬だろ犬っ!犬耳と尻尾だっ!」
俺の言葉に気色ばんだ永倉さんがきんきんと喚くが、それに構う筋合いはない。
それよりもっと重要なことがある。
「犬?どうしてそれを俺に?」
ぐぐっと眉間に皺を寄せて問う。
隊の内外で俺がどう言われているかなど充分承知しているが、
これは戯れにも程があろう。
永倉さんの手から黒い毛玉(毛玉で十分だ)を奪い、
とりあえず廃棄処分してやろうと腕に力を込める。
「っちょっ、待って一君!俺の力作!」
知るか。
「やめろって!斎藤!」
五月蠅い。
「土方さんのためだぞ!」
・・・なんだと?
再び左之の言葉に動きを止められる。
「・・・どうしてこれが土方さんのためになるんだ。」
強く握りすぎたせいで、くたりとよれた耳と尾をそれぞれ新八と永倉さんが修復していく。
その間に左之が為たり顔で説明を始めた。
「つまりな、ここのとこ年の瀬だ何だって局長・副長共に忙しかっただろ。」
確かに、通常の仕事に加えて各所への挨拶回り、年内の書類の纏めと
猫の手も借りたいほどに忙しそうだった。
その癖、何か手伝いたいと申し出たところで「お前は休め」と素気無く追い払われる。
常に土方さんの下で働く山崎君や島田さんを見掛けると思わず視線に殺気が篭ってしまう。
勿論、彼らには何の非もないことは充分承知しているというのに。
そう、この場合悪いのは・・・
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