薄桜鬼 土斎メイン BL小噺 声優関連徒然日記 詳細はご挨拶からどうぞ
05/19
2025
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02/03
2009
お待たせしました。後編です。年を跨いでしまうとは・・・。
拍手つけましたのでお気軽にご利用ください。
既に拍手くださった方ありがとうございます。
まだお礼がなくてすみません。ペコリ(o_ _)o))
なるべく早く付けたいと思ってますので気長にお待ちください。
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なるべく早く付けたいと思ってますので気長にお待ちください。
苛々の原因である佳人をちらりと頭に浮かべるうちに左之の説明を聞き流してしまった。
だが、改めて問い直す程の内容とは思えない。
そもそも犬の耳と尾が何故、副長のためになるというのか。
このような騒動に付き合う位なら一言文句でも言ってこようかと
拘束する左之の腕を外そうと試みる間にこの場にはいなかった筈の声が楽しげに響いた。
「みんな集まって何してるの?」
突然の闖入者は状況の更なる混乱を予測させた。
その証左に彼の頭には・・・
「いつもいつも僕だけ仲間外れにして・・・いくら温厚な僕でも拗ねちゃうよ?千鶴ちゃん。」
ピンと立てた茶虎の猫耳をつけた総司は慌てふためく雪村にくっつきそうな程に顔を寄せる。
総司に少なからぬ警戒心を持つ雪村だが、今は頭に付けられた猫耳に意識が向き逃げ遅れてしまった。
「総司、あまり揶揄うな。」
「やだなぁ。一君ってば。別に揶揄ってなんかないでしょ?ただ、ちょっと苛めてるだけだよ。」
にこり、と喰えない微笑みを浮かべて返されるのに溜息が漏れる。
「べっ、別に仲間外れになんてしてませんっ!」
俺の背に隠れて息巻くな。その反応が総司を楽しませていることに早く気付け。
それより―
「お前も渡されたのか?」
「うん。似合ってるでしょ。一君はつけないの?絶対似合うのに。」
「・・・こんな物が似合っても嬉しくない。お前が気に入ったなら俺の分も持っていけ。」
「だめだよ。それは一君のために丹精籠めて作った物なんだからね。一君がつけなきゃ意味ないんだよ。」
「俺にはこんな物を着けて喜ぶ趣味はない。」
「だから、一君にはなくても土方さんはあるんだよ。」
「なんだと?」
総司の言葉が信じられない。あの副長が・・・?
二の句が告げず、総司の顔をまじまじと見遣れば、ふふっと意味有り気に微笑んでみせる。
「近藤さんもよく似合うって褒めてくれたんだよ。
お散歩に行ったり、稽古つけてもらったり、久しぶりにいっぱい遊んでもらっちゃった。」
その言葉が示す通り総司は童のように無邪気な笑みを浮かべている。
「土方さんあれで意外と動物好きだから一君が犬耳なんてつけたら、
それはもうめいっぱい可愛がってもらえるよ。」
そう言って差し出すその手には黒い毛並みが艶々と輝く耳と尻尾。
それを見据えながら俺の意思はぐらぐらと揺れる。ゆれる。ゆれる・・・
逡巡の果てに結局、総司から犬耳を受け取った。
3人組は勿論、雪村までもが迫るような勢いで早くつけろと喚き散らすが冗談ではない。
そのような醜態を晒せるか。
騒ぐ4人を振り切り、副長室への道を急ぐのに、後ろから聞こえる足音1つ。
「何故お前が着いてくるんだ?」
「そんなの決まってるでしょ。一君が怖気づいて逃げ出さないようにね。監視だよ、監視。」
「監視だと?そんなもの必要、」
「そ・ん・な・こ・と・よ・り、土方さんのとこ行くんでしょ?
土方さんは忙しいんだから早くいかないとどっか行っちゃうよ。」
そう言うと総司は俺の手を取り、引っ張っていく。
然して広くもない屋敷内だ。言い合いをする内にすぐにも目的の場所に辿り着く。
当然、心の準備など出来ていない。
その気持ちを汲み取ったかものか、総司は部屋の前で待つように
言うと同時に総司は無遠慮に入り込んでいった。
「入りますよー。土方さん。」
「総司、てめぇ部屋に入るときは、」
「わかってますよ。以後気をつけますから。
それより、土方さん僕との約束まさか忘れてませんよね?」
「は?約束?」
「やだなぁ。土方さんの欲しいもの、僕たちで用意できたら僕たちの欲しいものな~んでもくれる
ってやつですよ。」
「ああ。あれか。」
「ええ。思い出したようですね。よかった。反故にされてしまったら僕等の努力が水の泡です。」
「お前等に俺の欲しいものが用意できるとは思えねえんだが・・・用意できたのか?」
「勿論。」
土方さんの部屋の前でゆっくりと息を整える。
総司が部屋に入ってからそれほど時は経っていない筈なのに、
ひどく長く思えるのは部屋に入る直前につけられた犬耳のせいに違いない。
副長室の周りには普段は殆ど人が近寄らぬのだが、
万に一つもこの姿を見られたらと思うといっそ切腹したいとすら思う。
それでも外すことが出来ないのは部屋の中の人を想えばこそ。
この姿を見て土方さんが少しでも喜んでくれたら・・・それだけでいい。
そんなことを考えていると閉切られていた戸がふいに開き、ぐいっと腕を掴まれた。
「っ・・・失礼します。・・・土方さん。あ、のっ・・・」
何か言わなければと思っても言葉が詰まって出てこない。
土方さんもじっと俺を見据えたまま口を開いてくれない。
やはり、呆れられたのだろうか・・・。
そう思えばじわり、と滲む瞳を気付かれぬ様に顔を伏せた。
と、ふわりと身を包む衝撃。気付けば俺は土方さんの腕に囚われていた。
混乱する俺を置き去りに愉しげに問いかける声。
「どうです?お気に召しましたか?」
「ああ。無論だ。」
返答に気を良くしたように総司は笑みを深めた。
「じゃあ・・・大事にしてくださいね。」
言葉と共に総司は部屋から出て行った。
「お前に言われるまでもねぇんだよ。」
残された俺は未だに混乱しているのだが、そんなことはお構いなしに
土方さんが見惚れる程に不敵に微笑うものだから結局どうすることもできない。
「たっぷり可愛がってやるからな。はじめ。」
そう言って俺の頭を撫でる土方さんの顔は俺が今までに見たどれよりも美しく怖ろしかった。
だが、改めて問い直す程の内容とは思えない。
そもそも犬の耳と尾が何故、副長のためになるというのか。
このような騒動に付き合う位なら一言文句でも言ってこようかと
拘束する左之の腕を外そうと試みる間にこの場にはいなかった筈の声が楽しげに響いた。
「みんな集まって何してるの?」
突然の闖入者は状況の更なる混乱を予測させた。
その証左に彼の頭には・・・
「いつもいつも僕だけ仲間外れにして・・・いくら温厚な僕でも拗ねちゃうよ?千鶴ちゃん。」
ピンと立てた茶虎の猫耳をつけた総司は慌てふためく雪村にくっつきそうな程に顔を寄せる。
総司に少なからぬ警戒心を持つ雪村だが、今は頭に付けられた猫耳に意識が向き逃げ遅れてしまった。
「総司、あまり揶揄うな。」
「やだなぁ。一君ってば。別に揶揄ってなんかないでしょ?ただ、ちょっと苛めてるだけだよ。」
にこり、と喰えない微笑みを浮かべて返されるのに溜息が漏れる。
「べっ、別に仲間外れになんてしてませんっ!」
俺の背に隠れて息巻くな。その反応が総司を楽しませていることに早く気付け。
それより―
「お前も渡されたのか?」
「うん。似合ってるでしょ。一君はつけないの?絶対似合うのに。」
「・・・こんな物が似合っても嬉しくない。お前が気に入ったなら俺の分も持っていけ。」
「だめだよ。それは一君のために丹精籠めて作った物なんだからね。一君がつけなきゃ意味ないんだよ。」
「俺にはこんな物を着けて喜ぶ趣味はない。」
「だから、一君にはなくても土方さんはあるんだよ。」
「なんだと?」
総司の言葉が信じられない。あの副長が・・・?
二の句が告げず、総司の顔をまじまじと見遣れば、ふふっと意味有り気に微笑んでみせる。
「近藤さんもよく似合うって褒めてくれたんだよ。
お散歩に行ったり、稽古つけてもらったり、久しぶりにいっぱい遊んでもらっちゃった。」
その言葉が示す通り総司は童のように無邪気な笑みを浮かべている。
「土方さんあれで意外と動物好きだから一君が犬耳なんてつけたら、
それはもうめいっぱい可愛がってもらえるよ。」
そう言って差し出すその手には黒い毛並みが艶々と輝く耳と尻尾。
それを見据えながら俺の意思はぐらぐらと揺れる。ゆれる。ゆれる・・・
逡巡の果てに結局、総司から犬耳を受け取った。
3人組は勿論、雪村までもが迫るような勢いで早くつけろと喚き散らすが冗談ではない。
そのような醜態を晒せるか。
騒ぐ4人を振り切り、副長室への道を急ぐのに、後ろから聞こえる足音1つ。
「何故お前が着いてくるんだ?」
「そんなの決まってるでしょ。一君が怖気づいて逃げ出さないようにね。監視だよ、監視。」
「監視だと?そんなもの必要、」
「そ・ん・な・こ・と・よ・り、土方さんのとこ行くんでしょ?
土方さんは忙しいんだから早くいかないとどっか行っちゃうよ。」
そう言うと総司は俺の手を取り、引っ張っていく。
然して広くもない屋敷内だ。言い合いをする内にすぐにも目的の場所に辿り着く。
当然、心の準備など出来ていない。
その気持ちを汲み取ったかものか、総司は部屋の前で待つように
言うと同時に総司は無遠慮に入り込んでいった。
「入りますよー。土方さん。」
「総司、てめぇ部屋に入るときは、」
「わかってますよ。以後気をつけますから。
それより、土方さん僕との約束まさか忘れてませんよね?」
「は?約束?」
「やだなぁ。土方さんの欲しいもの、僕たちで用意できたら僕たちの欲しいものな~んでもくれる
ってやつですよ。」
「ああ。あれか。」
「ええ。思い出したようですね。よかった。反故にされてしまったら僕等の努力が水の泡です。」
「お前等に俺の欲しいものが用意できるとは思えねえんだが・・・用意できたのか?」
「勿論。」
土方さんの部屋の前でゆっくりと息を整える。
総司が部屋に入ってからそれほど時は経っていない筈なのに、
ひどく長く思えるのは部屋に入る直前につけられた犬耳のせいに違いない。
副長室の周りには普段は殆ど人が近寄らぬのだが、
万に一つもこの姿を見られたらと思うといっそ切腹したいとすら思う。
それでも外すことが出来ないのは部屋の中の人を想えばこそ。
この姿を見て土方さんが少しでも喜んでくれたら・・・それだけでいい。
そんなことを考えていると閉切られていた戸がふいに開き、ぐいっと腕を掴まれた。
「っ・・・失礼します。・・・土方さん。あ、のっ・・・」
何か言わなければと思っても言葉が詰まって出てこない。
土方さんもじっと俺を見据えたまま口を開いてくれない。
やはり、呆れられたのだろうか・・・。
そう思えばじわり、と滲む瞳を気付かれぬ様に顔を伏せた。
と、ふわりと身を包む衝撃。気付けば俺は土方さんの腕に囚われていた。
混乱する俺を置き去りに愉しげに問いかける声。
「どうです?お気に召しましたか?」
「ああ。無論だ。」
返答に気を良くしたように総司は笑みを深めた。
「じゃあ・・・大事にしてくださいね。」
言葉と共に総司は部屋から出て行った。
「お前に言われるまでもねぇんだよ。」
残された俺は未だに混乱しているのだが、そんなことはお構いなしに
土方さんが見惚れる程に不敵に微笑うものだから結局どうすることもできない。
「たっぷり可愛がってやるからな。はじめ。」
そう言って俺の頭を撫でる土方さんの顔は俺が今までに見たどれよりも美しく怖ろしかった。
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