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薄桜鬼 土斎メイン BL小噺 声優関連徒然日記 詳細はご挨拶からどうぞ
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02/04

2010

節分の翌日は立春。
立春には椿。
椿といえば鬼。



蛇:椿には魔除けの意味があります。
  副長は自然の草花が好きなんであって、活花なんかには興味なさそう。

茶請けに添えられた一枝を訝しく思い、問うた返事は今日は立春ですから。
簡素な答えは此奴らしくて好ましいが、生憎それだけで全てを察しろというには些か足りぬ。
斎藤は俺の視線に応えるように言葉を足した。
曰く、厳しい冬が終わり春が来た喜びを花の開花とともに祝うのだ、と。
つまりはそういうことらしい。
まったく。
情緒も風情も解さぬような男が何を小洒落たことをするかと思えば、律儀なことだ。

「しかし、意外ですね。」
「なにがだよ。」
「豊玉先生ともあろうお方が御存知なかったことがですよ。」
「お前な・・・」
ったく。妙な影響受けやがって。
大体、俺はそういう性分じゃない。
そういったことを気にするのは山南さんだし、
実際に花が飾ってあったところでそれに目を留めるのは原田くらいではなかろうか。

「ならば、土方さんはどういった時に春を感じますか。」
浮かべた笑みを納め、改めた感での問いに咄嗟に答えられない。
春は好きだ。
しかし、だからこそ一つだけ挙げろというのは難しい。
だが、そうだな。やはり一番は・・・
「梅、だな。」
「梅・・・鶯ですか。」
「それも好いが。」
「違うんですか。」
「さっきお前が言っただろう。開花を祝うと。
 残雪の中でふっくらと色付いた蕾が綻んでいく様がな。好いんだよ。」
桜は散り際こそが美しい。風に吹かれ散り逝く儚さ。その無常。
対して梅は―・・・

「・・・と、なんだよ。」
俺が思いを馳せる間に斎藤はじとりとした目を向ける。
言葉より多くを語るその濃蒼は何をか意を含んだように眇められていた。
「別になんでもありませんが。」
「嘘吐け。素直に吐いちまえよ。」
問質せば如何にも不承不承といったように吐息して、

「あんたの言葉は時々妙に色粧いて聞こえて・・・それがなんだか・・・」

濁した言葉尻は意を伝える事無く消える。
だが、それで充分。
目尻を仄朱く染める様を見れば瞭然だ。
それがたとえ当人が判っていなくとも、俺が知っていればいいだけのこと。
今はもう少し、この曖昧な時を楽しみたい。

「なぁ、斎藤。今度花見に行かないか?」

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