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薄桜鬼 土斎メイン BL小噺 声優関連徒然日記 詳細はご挨拶からどうぞ
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2025

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02/22

2010

遅まきながらの更新です。
SSLの2人の時系列はある程度出来上がってますが、それは後々ってことで。
今回は1年生でまだお付き合い前です。
甘いというよりうざいよ先生!(爆笑)
めんどくさい男も(たまには)嫌いじゃないよ。

うちの設定では普通に共学です。

ホワイトデーに続くかどうかはその時次第。

2月14日。
Saint Valentine’s Day.
本場、欧米では宗教儀式の一環であり、日本に至っては製菓会社の陰謀だ。
そして俺は今年一年お世話になった先生に感謝の意を伝えようと思った。
ただそれだけのはずなのに。
どうしてこんなにどきどきするんだろう。



「ったく。どいつもこいつも浮かれすぎだ。」
椅子に座るなり先生は悪態をついた。背凭れがギシリと静かな部屋に音を立てる。
確かに今日は男子も女子も、果ては教員までもがそわそわして授業所ではなかった。
風紀委員としては何か対処するべきだが、一年に1度の日なのだからと近藤先生から
多目に見るようにとのお達しが来ている。
その為もあって土方先生は朝から眉間の皺が2割増しだ。
授業がまともに進まないのもそうだが、休み時間の間中、女生徒に囲まれていたのだ。
好意故としても気疲れはするだろう。
「お疲れ様でした。」
言葉と共に差し出したマグカップは苦笑と共に受け取られる。
角砂糖を一つ落としただけの濃い目のコーヒーが静かに波打つ。
「お前もだろ。」
「俺は別に・・・」
「しらばっくれんなよ。見てたぜ?お前がチョコ貰ってるとこ。」
ニヤリと口端を歪める様に絶句する。
まさか見られてたなんて思いもしなかった。
「お前も意外と隅に置けないよな。あれ本命だろ?
 真面目な風紀委員さんも人並みに青春してるようで安心したよ。」
「からかわないでください!」
「そんな怒るなよ。・・・いや、照れてるのか?
 まぁ、でも、今のうちにいろいろ経験しとくのは悪いことじゃねぇだろ。
 高校の3年間なんて後から振り返ればあっという間なんだぞ。」
その言葉に俺の胸はしくりと軋んだ。
先生といると時々おこる。
いつからなのか、どうしてなのか、自分にもわからない。
先生も教えてくれない。扱い難い痛み。
それを誤魔化したくて口を開いた。
「先生が学生の頃は今以上におもてになったんでしょうね。」
「まぁな。聞きたいか?」
「結構です。自慢話には興味ありませんよ。」
自然と眉が寄ったのは淹れたてのコーヒーが思った以上に熱かったからで他意はない。
あってたまるか。
そんな俺を見ながら至極美味そうにコーヒーを啜る先生は時折ひどく憎たらしい。
眦を強めて見遣れば宥める様な苦笑と共に大きな掌が髪を撫でる。
子供扱いされているとわかっているのに、先生の思惑通りに気を許してしまうのは
やはり俺が子供だからなのか。
すごく悔しいのに、この温もりと優しさには抗えずいつだってされるがままだ。
「まぁ、自慢話ってよりは昔話にちかいがな。」
「・・・それは女生徒は女性の範疇に入らないってことですか。」
「それはそうだが・・・なんか棘のある言い草だな。
 お前妙な事考えてそうだから一応言っとくが、俺は別に生徒だからってだけで
 そういう対象から外してるわけじゃねぇぞ。
 生徒の中にも無性に気になって仕方ない奴もいるし、
 運命の相手ってのは何処に転がってるかわかんねぇもんな。」
まるで意識させるかのようにツンと毛先を引っ張る指に指を絡めて押しとどめる。
穏やかに見つめる瞳はそれでいてどこか試されているようで落ち着かない。
「先生ってロマンチストだったんですね。意外です。」
「それは心外だな。俺はロマンチストなだけじゃなくって結構一途だぞ。」
「うそつき。俺が知らないとでも思ってるんですか?先生のコト。」
「・・・只の噂だろ。」
決まり悪気に視線を逸らす先生は少しだけかわいい。
滅多に見れないその様にもう少し追い討ちをかけてみる。
「残念ながら確か過ぎる程確かなソースですよ。」
「誰に何聞いたんだよ。」
「それは秘密です。でも、話半分として聞いても凄かったんですね。
 俺にはとてもではありませんが信じられない世界です。」
「・・・・・・・・・」
笑顔で言い切った言葉に先生は撃沈した。
少し言い過ぎたらしい。
「いいじゃないですか。昔の話なんでしょう?俺は気にしませんよ。」
「・・・ほんとに?」
「ええ。」
「幻滅してないか?」
「しませんよ。まぁ、多少は引きましたけど・・・
 先生ほど魅力的な男性なら納得するしかないでしょう?」
首を傾げて問い返せばある一点でピクリと反応した。
顔を上げた先生の眦はほんのりと朱く、何か言いたげな口唇は薄く開かれたまま動かない。

普段は見られない先生の一面。
やっぱり今日は俺も先生もどこか変だ。
それがバレンタインのせいってわけじゃないけれど。
今日は特別な日なのかもしれない。

絡めたままの指はそのままに左手で先生の髪を梳く。
指通りのいいさらさらのストレート。
俺の憧れでずっと前から触ってみたかった。
「なぁ、斎藤。」
「はい。」
「もう1回言って。」
「お断りします。」
「いいだろ。減る物じゃねぇんだから!」
「頼まれて言った言葉に意味などありませんよ。
 それよりさっきのは嘘偽りない本心なんですから、それで満足してください。」
渋々ながらも頷いた頭をあやすように撫でる。
いつもとは逆のパターンで、これは結構癖になりそうだ。
名残惜しさに後ろ髪を引かれながらも、今日の目的である物を取る為、
指を解き身を翻せば制服の裾を握られてしまった。動けない。
「先生。」
「・・・なんだよ。」
「どこにもいきませんよ?」
「わかってるよ。」
「なら、」
「嫌だ。」
「荷物を取ってくるだけです。今日はバレンタインでしょう?」
指が緩んだ隙に身を離す。
目的のショップバッグから取り出した中身はアクアブルーの小瓶。
シンプルに白と青のリボンがあしらってある。
「感謝をこめて・・・受け取ってもらえると嬉しいです。」
「サンキュ。嬉しいよ。」
「そういう割りにはあまり嬉しそうにみえません。やっぱり男から貰っても微妙ですか?」
「そうじゃねぇ・・・けど、その言い方だと義理なんだろ?」
「ええ。」
もちろん。と首肯すれば、先生の面は憮然と顰められていく。
その様に思わず漏れた溜息は僅かな呆れと多量の甘酸っぱさに染められて部屋へと溶けた。
先生の手から小瓶を奪いコルク栓を抜く。
中から零れ落ちたのは薄荷キャンディー。
1つ手に取り、固く噤まれた口唇におしあてる。
「どうぞ、お召しあがりください。」
先生は俺を一瞥した後、ゆるりと口を開いた。
悪戯な舌が指ごと口に含もうとするのを辛くも逃れる。
軽く舌打ちする口の中で飴を転がす音が軽やかに鳴った。
「お口にあいましたか。」
「ああ。でも、チョコじゃないんだな。」
「先生はチョコレートなら手に余るほど貰うでしょう?
 これなら口直しにもなるかと思ったので。」
「余計な気なんて回さなくてよかったのに・・・」
小さな呟きに首を傾げて問い返す。
「~~~だからっ、今年は本命からしか貰わないって決めてたんだよ!」
え・・・?でも、だって、先生はあんなに・・・
「断れるものは全部断ったし、無理なものは道場に差し入れ。」
こういう時、風紀委員の顧問ってのは便利だよな、と悪戯粧かして、
「だからお前のは特別なんだよ。」
耳元で囁かれた。

暫し落ちた沈黙が痛い。
震える身体が恥ずかしくて居た堪れなくて逃げ出したいのに、
崩れ落ちそうな脚はそれさえままならない。
手首を掴む掌の熱が、見据える眼差しが、逃げることを許さない。
「俺だって・・・」
「ん?」
「俺だってそうですよ。大体、先生じゃなかったら、」
こんな日にプレゼントなんて男の俺がそもそも考えもしない。
そう続くはずの言葉は息も出来ぬほどに抱き締められて掻き消えた。
「あー・・・やばい。」
「ん・・・先生?」
「だめだ。今ちょっと顔見せらんねぇ。もうちょっとこのままでいいか?」
答えなんて初めから求めていない問いに背へと腕を回すことで応える。
先生の温かな胸の中、煙草の残り香が鼻腔を擽った。




to be continued・・・?
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